出産手当金の計算式は?一時金50万円との違い

社会保険 公開日 / 執筆 トムシ

出産手当金は、標準報酬月額の平均を30で割って3分の2を掛けた日額に、休んだ日数を掛けて計算します。出産育児一時金はそれとは別の定額です。健康保険の出産手当金と出産育児一時金は、名前が似ていても対象者と金額の決まり方が違います。

この記事では、協会けんぽ(全国健康保険協会)の制度を例に、2つの給付の違いと金額の目安を架空の試算で確認し、あわせて産休中の保険料免除も整理します。健康保険組合や共済組合に加入している人は、独自の上乗せ給付などがある場合もあるので、加入先の案内もあわせて確認してください。

2つの給付と保険料免除の違い

項目出産手当金出産育児一時金産休中の保険料免除
目的休業中の収入の補てん出産費用の補てん休業中の保険料負担をなくす
対象会社の健康保険・共済組合の被保険者本人被保険者と被扶養者(配偶者の扶養に入っている人も含む)会社員などは健康保険・厚生年金、自営業などは国民年金
金額1日あたり標準報酬日額の3分の21児につき原則50万円会社員などは本人・会社とも全額免除
手続き勤務先と医師などの証明を受けて申請多くは病院の直接支払制度を利用会社員などは会社が申出、国民年金は本人が届出

出産手当金は会社の健康保険や共済組合の被保険者本人が「会社を休んで給与が出ない」ときの給付です。配偶者の扶養に入っている人や、自営業・フリーランスなどで国民健康保険に加入している人は、出産育児一時金が中心になり、自営業などの人は国民年金の産前産後免除もあわせて確認します。

出典:厚生労働省「出産手当金」働く女性の心とからだの応援サイト、協会けんぽ「出産育児一時金・出産手当金」(2026年10月確認)

出産手当金の計算方法と対象期間

1日あたりの金額は、次の式で計算します。

支給開始日以前12か月間の各月の標準報酬月額の平均 ÷ 30 × 2/3

標準報酬月額は、毎月の給与をもとに区切りのよい等級に当てはめた金額で、保険料の計算にも使われており、勤務先に確認できます。30で割った額は10円未満を四捨五入し、2/3を掛けた額は1円未満を四捨五入します。加入期間が12か月に満たない場合は、加入している期間の平均と、32万円(支給開始日が2025年4月1日以降の場合)のいずれか低い額で計算します。

対象になるのは、出産の日(予定日より遅れた場合は出産予定日)以前42日(多胎妊娠は98日)から、出産の翌日以後56日目までのうち、会社を休んだ日です。出産日は産前の期間に含まれ、予定日より遅れて生まれた場合は、遅れた日数分も支給されます。休んだ日に給与が出ていても、その日額が出産手当金より少なければ差額が支給されます。

出典:協会けんぽ「出産手当金」、協会けんぽ「出産で会社を休んだとき(出産手当金)」よくあるご質問(2026年10月確認)

試算例:標準報酬月額別にいくらになる?

予定日ちょうどに出産し、産前42日・産後56日の合計98日をすべて休み、その間の給与はゼロという架空の条件で計算しました。12か月間の標準報酬月額は同じ額だったものとします。

標準報酬月額標準報酬日額1日あたりの支給額98日分の合計
22万円7,330円4,887円478,926円
30万円10,000円6,667円653,366円
41万円13,670円9,113円893,074円

標準報酬月額30万円の人が予定日より5日遅れて出産した場合は、対象が103日になり、6,667円×103日=686,701円です。双子などの多胎妊娠で産前98日・産後56日の154日をすべて休んだ場合は、6,667円×154日=1,026,718円になります。

いずれも目安で、実際の支給額は加入先からの通知で確定します。申請は産前・産後に分けることもできますが、そのたびに勤務先の証明が必要になるため、どのタイミングで出すか勤務先に確認しておくと安心です。

出産育児一時金は「1児50万円」をどう受け取るか

出産育児一時金は、産科医療補償制度に加入している医療機関で妊娠22週以降に出産した場合、1児につき50万円です。それ以外の出産は48.8万円で、双子なら2人分が支給されます。妊娠85日(4か月)以後の出産であれば、死産や流産も対象です。

受け取り方は主に次の3つです。

方法しくみ窓口での支払い
直接支払制度病院が本人に代わって申請し、加入先から病院へ直接支払われる50万円を超えた分だけ
受取代理制度本人が申請し、病院が代わりに受け取る(届出をした一部の施設のみ)50万円を超えた分だけ
償還払い本人が申請して本人が受け取るいったん全額

直接支払制度で出産費用が55万円だった場合は、窓口で5万円を支払います。費用が40万円だった場合は、差額の10万円を加入先に申請して受け取ります。協会けんぽでは、出産後おおむね3か月で差額の申請書が送られてきます。帝王切開など健康保険が使われる出産では、保険診療分の医療費が高額療養費の対象になることもあります。

出典:協会けんぽ「出産育児一時金」、厚生労働省「出産育児一時金等について」(2026年10月確認)

産休中は保険料も免除される

会社員などが産前産後休業を取ると、会社が日本年金機構に申し出ることで、休業期間中の健康保険・厚生年金保険の保険料が本人負担分・会社負担分とも免除されます。免除された期間も、将来の年金額の計算では保険料を納めた期間として扱われます。

自営業やフリーランスなど国民年金の第1号被保険者は、出産予定月の前月から4か月間(多胎妊娠は3か月前から6か月間)の国民年金保険料が免除されます。令和8年度の保険料は月17,920円なので、4か月分で71,680円です。こちらは自分で市区町村の窓口に届け出る必要があり、出産予定日の6か月前から届出ができます。

出典:日本年金機構「厚生年金保険料等の免除(産前産後休業・育児休業等期間)」、日本年金機構「国民年金保険料の産前産後期間の免除制度」(2026年10月確認)

申請の期限

健康保険の給付を受ける権利は2年で時効になります。出産手当金は休んだ日ごとにその翌日から、出産育児一時金は出産日の翌日から2年が期限です。退職後でも、退職日までに継続して1年以上加入していたなどの条件を満たせば受けられる場合があります(出産手当金は退職日に出勤すると対象外になります)。

出典:協会けんぽ「健康保険給付について」よくあるご質問(2026年10月確認)

産休に入る前のチェックリスト

  • 自分が健康保険の被保険者本人か、配偶者の扶養に入っているかを確認したか
  • 給与明細から標準報酬月額を確認し、出産手当金の日額を試算したか
  • 出産予定の病院が直接支払制度を使えるか、費用の目安はいくらか確認したか
  • 産休中の社会保険料免除の手続きを勤務先に確認したか(国民年金の人は自分で届出)
  • 出産手当金を産前・産後のどちらで申請するか、勤務先と相談したか
  • 給付が振り込まれるまでの生活費を、貯蓄でまかなえるか

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まとめ

出産手当金は「標準報酬月額の平均÷30×2/3」が1日あたりの目安で、産前42日・産後56日のうち休んだ日が対象です。出産育児一時金は1児50万円が基本で、直接支払制度を使えば窓口では超えた分だけを支払います。産休中は保険料の免除もあるので、具体的な金額や手続きは勤務先と加入している健康保険で早めに確認してください。

よくある質問

出産手当金の計算式は何ですか

標準報酬月額の平均を30で割り、3分の2を掛けた額が1日あたりの目安です。産前42日、産後56日のうち、休んだ日が対象です。

出産育児一時金はいくらで、どう受け取りますか

産科医療補償制度に加入している医療機関で妊娠22週以降に出産した場合、1児につき50万円です。直接支払制度を使うと、窓口では費用が50万円を超えた分を支払います。

産休中の保険料はどうなりますか

会社が申し出ると、健康保険と厚生年金の保険料が本人負担分も会社負担分も免除されます。免除期間も、年金額の計算では納めた期間として扱われます。

本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の商品・サービスの購入や投資を勧めるものではありません。制度や料金は変更されることがあるため、最新情報は公式サイトでご確認ください。