介護休業給付金の上限は?67%と93日の使い方
介護休業給付金で先に見るのは、休んだ月の上限額と、同じ家族について使える日数の分け方です。仕事を続けながら介護の体制を整えるときに使うのが、育児・介護休業法の介護休業と、雇用保険の介護休業給付金です。
上限額と、93日を何回に分けるかで、休んでいるあいだの見え方が変わります。この記事では、厚生労働省の公表情報をもとに、金額の計算と使い方を架空の試算で確認します。
介護休業給付金を受けられる人と対象の休業
厚生労働省のQ&Aによると、主な要件は次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象の家族 | 配偶者(事実婚を含む)、父母、子、配偶者の父母、祖父母、兄弟姉妹、孫 |
| 家族の状態 | けがや病気、障害により、2週間以上にわたり常時介護が必要な状態 |
| 本人の加入期間 | 休業を始めた日の前2年間に、雇用保険の被保険者期間が12か月以上 |
| 支給の範囲 | 同じ家族について通算93日まで、3回まで |
| 有期雇用の人 | 休業開始予定日から93日を経過する日から6か月を経過する日までに、契約が満了することが明らかでないこと |
「2週間以上の常時介護が必要」というのは家族の状態のことで、休業自体は2週間未満でもかまいません。たとえば10日間だけ休業して給付を受けることもできます。一方で、休業の最初から退職を予定している場合は、職場復帰が前提の給付のため対象外です。
出典:厚生労働省「Q&A~介護休業給付~」(2026年10月確認)
金額の計算方法と2026年8月からの上限額
1か月(1支給単位期間・原則30日)あたりの給付額は、次の式で計算します。
休業開始時賃金日額 × 支給日数 × 67%
休業開始時賃金日額は、原則として休業前6か月間の総支給額(税金や保険料を引く前の額、賞与は除く)を180で割った額です。この賃金には上限・下限があり、2026年8月1日からは次の金額に改定されています。
| 項目 | 2026年7月まで | 2026年8月1日から |
|---|---|---|
| 1か月あたりの支給上限額 | 356,574円 | 366,222円 |
| 休業開始時の賃金月額の上限 | 532,200円 | 546,600円 |
| 休業開始時の賃金月額の下限 | 90,420円 | 96,090円 |
出典:厚生労働省「Q&A~介護休業給付~」、厚生労働省・ハローワーク「令和8年8月1日から支給限度額が変更になります」(2026年10月確認)
月給別の架空試算
休業中に給与が出ず、賞与を除く月給が6か月間同じだったと仮定した架空の試算です。1円未満の端数の扱いなどにより、実際の金額は前後します。
| 休業前の月給 | 賃金日額(目安) | 30日あたりの給付額 | 93日すべて使った場合の合計 |
|---|---|---|---|
| 15万円 | 5,000円 | 約10万500円 | 約31万1,550円 |
| 20万円 | 6,666円 | 約13万3,986円 | 約41万5,358円 |
| 30万円 | 10,000円 | 約20万1,000円 | 約62万3,100円 |
| 40万円 | 13,333円 | 約26万7,993円 | 約83万779円 |
| 60万円 | 18,220円(上限) | 36万6,222円(上限) | 約113万5,288円 |
月給60万円のケースは賃金月額の上限546,600円で頭打ちになるため、月給に対する割合は67%より下がります。なお、厚生労働省のQ&Aでも、月給20万円程度で月13.4万円程度、30万円程度で月20.1万円程度という目安が示されています。
注意したいのは、休業中に働いた場合や給与が出た場合です。1支給単位期間に就労した日数が10日を超えると、その期間は支給の対象外になります。また、「賃金日額×支給日数」の80%以上の賃金が支払われると給付は0円になり、80%未満でも減額される場合があります。なお、介護休業給付は課税の対象になりません。
出典:厚生労働省「Q&A~介護休業給付~」(2026年10月確認)
「93日・3回まで」をどう使うか
厚生労働省は、介護休業を「介護の体制を構築するため一定期間休業する場合」に対応する制度と位置づけています。自分がずっと介護を担うための期間というより、介護サービスの手配や家族の役割分担を決めるための期間と考えると、使いどころが見えやすくなります。分け方の一例(架空)は次のとおりです。
| 回 | 場面の例 | 日数の例 |
|---|---|---|
| 1回目 | 入院中に、介護保険の申請や退院後の方針を決める | 30日 |
| 2回目 | 退院直後に、在宅サービスや住まいの調整をする | 30日 |
| 3回目 | 状態が変わったときに、施設入所などを検討する | 33日 |
同じ家族について93日分を使い切ると、要介護の状態が変わっても再び給付を受けることはできません。通院の付き添いなど短い用事には、次の制度も組み合わせて考えましょう。
| 制度 | 内容 | 向いている場面 |
|---|---|---|
| 介護休業 | 対象家族1人につき通算93日、3回まで | 介護の体制づくり |
| 介護休暇 | 1年度に5日(対象家族が2人以上なら10日)、1日未満の単位でも取得可 | 通院の付き添い、介護保険の手続き |
| 短時間勤務や残業の制限など | 勤務先の制度による | 日常的な介護との両立 |
2025年4月からは、介護休暇の取得について勤続6か月未満の人を労使協定で除外するしくみが廃止されました。さらに、介護に直面したと申し出た社員に対して、勤務先は制度や介護休業給付金について個別に知らせ、利用の意向を確認することが義務になっています。
出典:厚生労働省「法改正のポイント」介護休業制度特設サイト、e-Gov法令検索「育児・介護休業法」、東京労働局「改正 育児・介護休業法等説明会」資料(2026年10月確認)
申請の流れ
申請は原則として勤務先を通じて、事業所を管轄するハローワークに行います。本人が希望すれば自分で手続きすることもできます。主な書類は、休業開始時賃金月額証明書、介護休業給付金支給申請書、勤務先に出した介護休業申出書、家族との続柄がわかる住民票記載事項証明書などです。支給が決まってから、おおむね1週間程度で指定口座に振り込まれます。
出典:厚生労働省「Q&A~介護休業給付~」(2026年10月確認)
休業前のチェックリスト
- 対象の家族と続柄に当てはまるか、2週間以上の常時介護が必要な状態か
- 休業前2年間に、雇用保険の加入期間が12か月以上あるか
- 休業前6か月の給与から、賃金日額と1か月の給付額を試算したか
- 93日を何回に分けて、どの場面で使うか家族と話し合ったか
- 短い用事は介護休暇や短時間勤務で対応できないか、勤務先に確認したか
- 給付が振り込まれるまでの生活費を、貯蓄でまかなえるか
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自分が病気で休む場合は健康保険の制度が対象になります。傷病手当金はいつまで?待期3日と通算1年6か月で計算方法を確認できます。同じ雇用保険の休業給付である育児休業給付金の給付率は?67%と手取りの試算と比べると、給付率や上限額の違いがわかります。介護で家族の医療費がかさむときは高額療養費の上限、収入が減る期間への備えは生活防衛資金の試算もあわせて参考にしてください。
まとめ
介護休業給付金は「休業開始時賃金日額×支給日数×67%」が基本で、2026年8月1日からは1か月あたり366,222円が上限です。同じ家族について通算93日・3回まで使えるので、介護の体制を整える節目に分けて使い、短い用事は介護休暇などと組み合わせるのがポイントです。具体的な金額や手続きは、勤務先の担当窓口やハローワークで確認してください。
よくある質問
介護休業給付金の計算式は何ですか
休業開始時賃金日額×支給日数×67%です。2026年8月1日からは1か月あたり366,222円が上限です。
93日はどう使えますか
同じ家族について通算93日、3回までです。使い切ると、要介護の状態が変わっても再び給付を受けることはできません。
10日だけの休業でも対象ですか
休業自体は2週間未満でもかまいません。最初から退職を予定している場合は対象外です。