失業保険は何日もらえる?自己都合と会社都合の差

社会保険 公開日 / 執筆 トムシ

失業保険(雇用保険の基本手当)で何日分出るかは、自己都合か会社都合かで変わります。1日あたりの金額は、賃金日額に給付率を掛けた別の計算です。会社員などが加入する雇用保険には、離職して次の仕事を探している間の生活を支える基本手当があります。

給付日数は離職理由と加入期間で決まり、1日あたりの額には年齢ごとの上限があります。この記事では、厚生労働省とハローワークの公表情報をもとに、金額と日数の決まり方を試算で確認します。個別の受給資格や金額は、住所地を管轄するハローワークが決定します。

基本手当を受けられる人

ハローワークの案内では、次の2つの両方にあてはまると基本手当が支給されます。

条件ポイント
「失業の状態」にあるハローワークで求職の申込みをし、働く意思と能力があるのに仕事に就けない状態。病気やけが、妊娠・出産・育児ですぐに働けない人や、しばらく休養する予定の人は対象外
加入期間が足りている原則、離職日以前2年間に被保険者期間が通算12か月以上。倒産・解雇などの特定受給資格者や、契約が更新されなかったなどの特定理由離職者は、離職日以前1年間に6か月以上でも可

すぐに働けない事情がある人は、受給期間(原則、離職日の翌日から1年間)を延長できる場合があります。延長は最長3年間までで、30日以上働けない状態が続くときに申請します。

出典:ハローワークインターネットサービス「基本手当について」(2026年10月確認)

1日あたりの金額(基本手当日額)の計算方法

基本手当日額は、次の2段階で計算します。

  1. 賃金日額を出す:離職日の直前6か月に毎月決まって支払われた賃金(賞与は除く)の合計 ÷ 180
  2. 賃金日額に給付率を掛ける:おおむね50〜80%(60〜64歳は45〜80%)で、賃金が低い人ほど率が高くなる

賃金日額と基本手当日額には上限と下限があり、毎年8月に見直されます。2026年8月1日からの金額は次のとおりです。

離職時の年齢賃金日額の上限基本手当日額の上限
29歳以下14,900円7,450円
30〜44歳16,540円8,270円
45〜59歳18,220円9,110円
60〜64歳17,400円7,830円

基本手当日額の下限は、年齢に関係なく2,562円です。給付率は、59歳以下の場合、賃金日額が5,480円未満なら80%、5,480円以上13,490円以下なら80%から50%へ段階的に下がり、13,490円を超えると50%になります。60〜64歳は、12,120円を超えると45%です。

出典:厚生労働省「雇用保険の基本手当日額の変更」、厚生労働省・ハローワーク「雇用保険の基本手当日額が変更になります〜令和8年8月1日から〜」(PDF)(2026年10月確認)

試算例:月給別の1日あたりの金額

以下はすべて架空の数字による例です。リーフレットに示された計算式に当てはめ、1円未満を切り捨てて表示しています。実際の金額はハローワークが決定します。

ケース(仮)賃金日額基本手当日額賃金日額に対する割合
A:28歳・月給22万円7,333円5,357円約73%
B:35歳・月給30万円10,000円6,307円約63%
C:50歳・月給45万円15,000円7,500円50%
D:62歳・月給35万円11,666円5,431円約47%

月給が高い人ほど割合が下がり、60歳以上ではさらに低めになるのがわかります。たとえばケースBの場合、基本手当日額6,307円の28日分は約17.7万円で、月給30万円の6割弱です。

何日分もらえる?離職理由で変わる給付日数

基本手当を受けられる日数(所定給付日数)は、離職時の年齢、雇用保険に加入していた期間、離職理由で決まります。自己都合退職など一般の離職者は、年齢に関係なく次のとおりです。

加入していた期間1年以上10年未満10年以上20年未満20年以上
一般の離職者(自己都合など)90日120日150日

倒産・解雇などの特定受給資格者は、年齢と加入期間に応じて90〜330日と手厚くなります。障害のある人などの就職困難者は150〜360日です。

上の試算例で、自己都合で辞めた場合と、会社都合(特定受給資格者)で辞めた場合の総額を比べてみます(いずれも架空の例)。

ケース(仮)加入期間自己都合の場合会社都合の場合
A:28歳5年90日・約48.2万円120日・約64.3万円
B:35歳12年120日・約75.7万円240日・約151.4万円
C:50歳25年150日・約112.5万円330日・約247.5万円

同じ賃金でも、離職理由によって受け取れる総額が2倍以上違うことがあります。離職理由は離職票に記載され、ハローワークが最終的に判断します。記載内容が自分の認識と違う場合は、手続きの際にハローワークで相談しましょう。

出典:ハローワークインターネットサービス「基本手当の所定給付日数」(2026年10月確認)

いつから振り込まれる?待期と給付制限

基本手当は、受給資格の決定日から7日間の待期のあとに支給の対象になります。正当な理由のない自己都合退職の場合は、待期のあとさらに給付制限があり、その間は支給されません。

離職のしかた給付制限
2025年4月1日以降の自己都合退職原則1か月
過去5年間に2回以上、自己都合退職で受給資格決定を受けている3か月
自分の重大な責任による解雇(重責解雇)3か月

2025年4月からは、離職日前1年以内に対象の教育訓練を受けていた人や、離職後に受けている人は、給付制限が解除されるしくみも始まっています。また、失業の認定は原則4週間に1回行われ、認定を受けた日数分が支給されます。退職から最初の入金までは、待期・給付制限・認定の期間を合わせてしばらく間が空くので、その間の生活費を用意しておきましょう。

なお、所定給付日数の3分の1以上を残して安定した仕事に就き、条件を満たすと、残りの日数に応じた再就職手当を受けられる場合があります。

出典:厚生労働省「令和7年4月以降に教育訓練等を受ける場合、給付制限が解除され、基本手当を受給できます」、厚生労働省「雇用保険制度の概要」(PDF)、ハローワークインターネットサービス「よくあるご質問(その他)」、岩手労働局・ハローワーク「給付制限期間が1か月に短縮されます」(PDF)(2026年10月確認)

退職前後のチェックリスト

  • 離職日以前2年間に、雇用保険の加入期間が12か月以上あるか
  • 給与明細で直近6か月の賃金(賞与を除く)を確認し、基本手当日額を試算したか
  • 自分の離職理由が「自己都合」「会社都合」のどちらにあたりそうか確認したか
  • 離職票を会社から受け取る時期を確認したか
  • 給付制限を含め、最初の入金までの生活費を貯蓄でまかなえるか
  • 受給期間(原則、離職日の翌日から1年)を過ぎないよう、早めにハローワークへ行く予定を立てたか
  • 病気などですぐ働けない場合は、受給期間の延長を検討したか

病気で働けないときは別の制度も確認

在職中に病気やけがで休み、そのまま退職する場合は、健康保険の傷病手当金を退職後も受けられることがあります。計算のしかたは傷病手当金の期間で解説しています。退職後は収入が減る一方で保険料や家賃などの固定費は続くので、固定費の見直し順は?年額が大きい契約からも参考に、支出を早めに整えておくと安心です。

まとめ

基本手当の1日あたりの金額は、直近6か月の賃金をもとに、おおむね賃金の50〜80%(60〜64歳は45〜80%)で、2026年8月からは最大9,110円です。日数は自己都合なら90〜150日、会社都合なら最大330日と、離職理由で大きく変わります。自己都合退職では給付制限の1か月もあるので、辞める前に「総額でいくら・いつから」を試算し、足りない分を貯蓄で備えておくことが大切です。公的な給付をふまえた貯蓄額の考え方は、生活防衛資金の試算も参考にしてください。

よくある質問

失業保険は何日分もらえますか

自己都合など一般の離職者は90日から150日です。倒産や解雇などの特定受給資格者は90日から330日で、年齢と加入期間で変わります。

1日あたりの金額はどう計算しますか

離職前6か月の賃金(賞与を除く)の合計を180で割り、給付率を掛けます。おおむね50%から80%で、2026年8月からは最大9,110円です。

自己都合だとすぐ振り込まれますか

受給資格の決定日から7日間の待期があります。正当な理由のない自己都合は、さらに給付制限があり、記事では原則1か月としています。

本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の商品・サービスの購入や投資を勧めるものではありません。制度や料金は変更されることがあるため、最新情報は公式サイトでご確認ください。