生命保険料控除はいくら?所得税と住民税の節税額
生命保険、医療保険、個人年金保険の保険料は、払った金額の一部が所得から差し引かれることがあります。この所得控除が生命保険料控除です。払った保険料がそのまま税金から引かれるわけではなく、控除額に税率を掛けた金額が、軽くなる税金の目安になります。
契約を結んだ時期で「新制度」と「旧制度」に分かれ、所得税と住民税でも計算式と上限が違います。この記事では、国税庁のタックスアンサーと保険料控除申告書をもとに、3つの区分の計算、新旧が混ざる場合、節税額の試算、年末調整での出し方を整理します。令和8年分の年末調整全体の変更(基礎控除の引上げなど)は年末調整の試算に譲り、ここでは生命保険料控除の計算に絞ります。制度と金額は、2026年10月24日に掲載元のページで確認しました。
3つの区分と、所得税・住民税の上限
控除の対象は、その年の1月1日から12月31日までに支払った保険料から、その年に受け取った剰余金や割戻金を差し引いた残額です。契約が複数あっても、区分ごとに合計してから、1回だけ計算式に当てはめます。契約ごとに上限が使えるわけではありません。
平成24年(2012年)1月1日以後の契約が新制度、平成23年(2011年)12月31日以前の契約が旧制度です。
| 区分 | 所得税の上限(新制度) | 所得税の上限(旧制度) | 住民税の上限(新制度) | 住民税の上限(旧制度) |
|---|---|---|---|---|
| 一般生命保険料 | 4万円 | 5万円 | 2万8,000円 | 3万5,000円 |
| 介護医療保険料 | 4万円 | 区分なし(旧契約の医療・介護の保険料は一般に含まれる) | 2万8,000円 | 区分なし |
| 個人年金保険料 | 4万円 | 5万円 | 2万8,000円 | 3万5,000円 |
| 3区分の合計 | 12万円 | 旧契約だけなら一般5万円と個人年金5万円で10万円 | 7万円 | 7万円 |
新制度の一般生命保険料は、23歳未満の扶養親族がいる人の令和8年分・令和9年分の所得税に限り、上限が6万円になります。3区分を合計した所得税の上限12万円と、住民税の上限は変わりません。この特例は後の節で計算式ごと確認します。
出典:国税庁「No.1140 生命保険料控除」、国税庁「保険と税」、生命保険協会「生命保険料控除に関する税制改正について」(PDF)、和歌山県「個人県民税 生命保険料控除」(2026年10月24日確認)
対象になる契約と、証明書で区分を確認する点
国税庁によると、対象になる主な契約は次のとおりです。保険金などの受取人は、保険料を払い込む人、その配偶者、その他の親族である必要があります。
- 一般生命保険料は、生存または死亡により一定額の保険金が支払われる生命保険や、同様の生命共済などです。
- 介護医療保険料は、平成24年1月1日以後の契約のうち、医療費の支払いを原因として保険金などが支払われる医療保険や介護保険などです。平成23年12月31日以前の第三分野(医療保険・介護保険)の保険料は、介護医療保険料ではなく旧生命保険料(一般)として計算します。
- 個人年金保険料は、年金の受取人が保険料を払い込む人またはその配偶者で、年金を受け取るまでに10年以上にわたって定期的に保険料を払い、原則として満60歳から10年以上の年金を受け取る契約などです。
支払った保険料がどの区分になるかは、保険会社から届く生命保険料控除証明書で確認できます。生命保険文化センターは、個人年金保険料税制適格特約を付けていない個人年金や、変額個人年金は一般生命保険料控除の対象になると説明しています。名称に「介護」とあっても一般の区分になる特約もあるため、証明書の区分欄を優先します。
対象にならないものの例として、国税庁は、保険期間が5年未満の貯蓄保険・貯蓄共済、国外で締結した外国保険、信用保険、傷害保険、財形貯蓄・財形住宅貯蓄・財形年金貯蓄を挙げています。生命保険文化センターは、少額短期保険と団体信用生命保険も対象外としています。自動車の任意保険の保険料も、この控除の計算には入れません。地震保険を付けている部分は、別の地震保険料控除です。保険料の水準と控除の効果は地震保険の保険料で試算しています。
旧制度の契約でも、2012年1月1日以後に更新・転換・保障のある特約の中途付加をすると、以後の保険料は契約全体が新制度の対象になります。保障のない特約(リビング・ニーズ特約など)の中途付加だけでは、旧制度のままです。一部だけを転換した場合は、転換後の新しい契約が新制度、残った元の契約が旧制度です。
出典:国税庁「No.1141 生命保険料控除の対象となる保険契約等」、国税庁「No.1140 生命保険料控除」、生命保険文化センター「税金の負担が軽くなる『生命保険料控除』」(2026年10月24日確認)
所得税の計算式(1つの区分ごと)
新制度の一般生命保険料・介護医療保険料・個人年金保険料は、それぞれ次の式です。23歳未満の扶養親族がいる場合の新生命保険料だけ、別の式になります。
| 年間の支払保険料等 | 控除額 |
|---|---|
| 2万円以下 | 支払保険料等の全額 |
| 2万円超 4万円以下 | 支払保険料等×1/2+1万円 |
| 4万円超 8万円以下 | 支払保険料等×1/4+2万円 |
| 8万円超 | 一律4万円 |
旧制度の一般生命保険料と個人年金保険料は、それぞれ次の式です。
| 年間の支払保険料等 | 控除額 |
|---|---|
| 2万5,000円以下 | 支払保険料等の全額 |
| 2万5,000円超 5万円以下 | 支払保険料等×1/2+1万2,500円 |
| 5万円超 10万円以下 | 支払保険料等×1/4+2万5,000円 |
| 10万円超 | 一律5万円 |
同じ年間保険料でも、旧制度の方が1区分あたりの控除額は大きくなります。一方で旧制度には介護医療の区分がなく、合計の枠も新制度より狭い点に注意が必要です。
| 年間の支払保険料 | 新制度の所得税 | 旧制度の所得税 | 新制度の住民税 | 旧制度の住民税 |
|---|---|---|---|---|
| 1万2,000円 | 1万2,000円 | 1万2,000円 | 1万2,000円 | 1万2,000円 |
| 2万4,000円 | 2万2,000円 | 2万4,000円 | 1万8,000円 | 1万9,500円 |
| 4万円 | 3万円 | 3万2,500円 | 2万4,000円 | 2万7,500円 |
| 6万円 | 3万5,000円 | 4万円 | 2万8,000円 | 3万2,500円 |
| 8万円 | 4万円 | 4万5,000円 | 2万8,000円 | 3万5,000円 |
| 10万円 | 4万円 | 5万円 | 2万8,000円 | 3万5,000円 |
| 12万円 | 4万円 | 5万円 | 2万8,000円 | 3万5,000円 |
住民税の列は次の節の式で計算しています。年末調整の保険料控除申告書には、計算で1円未満の端数が出たときは切り上げると書かれています。上の表は割り切れる金額だけを使っています。
出典:国税庁「No.1140 生命保険料控除」、国税庁「令和8年分 給与所得者の保険料控除申告書」(PDF)(2026年10月24日確認)
新契約と旧契約の両方があるとき
一般生命保険料と個人年金保険料は、それぞれ次の2つを比べて、大きい方をその区分の控除額にします。申告のときに、自分でどちらか一方だけを選んで届け出る手続きではありません。証明書に載っている新旧の金額を両方書き、計算の結果として大きい方が使われます。
- 旧契約だけで計算した額(所得税は最高5万円、住民税は最高3万5,000円)
- 新契約の控除額と旧契約の控除額を足した額。足した場合の上限は、所得税4万円、住民税2万8,000円
23歳未満の扶養親族がいて新生命保険料がある場合を除くと、足した側の所得税の上限は4万円です。旧契約の年間保険料が6万円を超えると、旧契約だけの控除額は4万円を超えるため、大きい方は旧契約だけの額(最高5万円)になります。国税庁の「保険と税」も、この場合は旧契約の計算額(最高5万円)とする、と整理しています。特例の対象になる人は、一般生命保険料に限って、新旧を足した額の上限が6万円です。旧契約だけの最高5万円より大きくなり得るため、保険料控除申告書では足した額を使います。
たとえば、旧制度の一般生命保険料が年間4万8,000円、新制度の一般生命保険料が年間2万4,000円で、他に保険料がない場合です。
| 計算 | 所得税 | 住民税 |
|---|---|---|
| 旧契約だけ | 4万8,000円×1/2+1万2,500円=3万6,500円 | 4万8,000円×1/4+1万7,500円=2万9,500円 |
| 新契約だけ | 2万4,000円×1/2+1万円=2万2,000円 | 2万4,000円×1/2+6,000円=1万8,000円 |
| 新旧を足した額(上限適用後) | 5万8,500円を上限4万円に引き下げて4万円 | 4万7,500円を上限2万8,000円に引き下げて2万8,000円 |
| 採用する額 | 4万円(足した額の方が大きい) | 2万9,500円(旧契約だけの方が大きい) |
同じ保険料でも、所得税では合計した額、住民税では旧契約だけの額、という結果になることがあります。介護医療保険料は新制度だけの区分なので、この比較は不要です。
出典:国税庁「保険と税」、国税庁「令和8年分 給与所得者の保険料控除申告書」(PDF)、和歌山県「個人県民税 生命保険料控除」(2026年10月24日確認)
住民税の計算式と、翌年度に反映されること
住民税の生命保険料控除は、所得税とは別の式です。新制度(一般・介護医療・個人年金のそれぞれ)は次のとおりです。
| 年間の支払保険料等 | 控除額 |
|---|---|
| 1万2,000円以下 | 支払保険料等の全額 |
| 1万2,000円超 3万2,000円以下 | 支払保険料等×1/2+6,000円 |
| 3万2,000円超 5万6,000円以下 | 支払保険料等×1/4+1万4,000円 |
| 5万6,000円超 | 一律2万8,000円 |
旧制度(一般・個人年金のそれぞれ)は次のとおりです。
| 年間の支払保険料等 | 控除額 |
|---|---|
| 1万5,000円以下 | 支払保険料等の全額 |
| 1万5,000円超 4万円以下 | 支払保険料等×1/2+7,500円 |
| 4万円超 7万円以下 | 支払保険料等×1/4+1万7,500円 |
| 7万円超 | 一律3万5,000円 |
3区分を足した住民税の控除額は、7万円が上限です。各区分が上限まで届いても、7万円を超えた分は切り捨てます。生命保険文化センターは、所得税の手続きをしていれば、住民税のために別に申告する必要はないと説明しています。個人住民税は前年の所得に対して翌年度に課税されるため、令和8年中に払った保険料は、令和8年分の所得税と、令和9年度の個人住民税の計算に使われます。
所得割の標準税率は10%(都道府県民税4%と市区町村民税6%の合計。政令指定都市は都道府県民税2%と市民税8%で、合計は同じ10%)です。この記事の試算も10%で計算しています。総務省は、都道府県や市町村が自らの判断で税率を定められるとしています。標準と異なる場合は、通知書の税率で読み替えてください。
出典:和歌山県「個人県民税 生命保険料控除」、葛飾区「住民税の生命保険料控除」、生命保険文化センター「税金の負担が軽くなる『生命保険料控除』」、長野市「令和8年度課税の個人市民税・県民税(住民税)控除の種類」、総務省「個人住民税」(2026年10月24日確認)
試算例: 3つの家計で控除額と節税額を比べる
ここからは、剰余金や割戻金がなく、23歳未満の扶養親族がいない人を想定した架空の例です。払っている保険料の組み合わせが違うため、ケースの優劣を決める表ではありません。自分の証明書の金額を、どの式に当てはめるかの見本にしてください。
ケースAは新制度だけです。一般9万6,000円は8万円超なので所得税4万円、住民税2万8,000円。介護医療4万8,000円は、所得税が4万8,000円×1/4+2万円=3万2,000円、住民税が4万8,000円×1/4+1万4,000円=2万6,000円。個人年金2万4,000円は、所得税2万2,000円、住民税1万8,000円。住民税の合計7万2,000円は上限の7万円になります。
ケースBは、旧制度の一般生命保険料だけを年間12万円払っている例です。所得税5万円、住民税3万5,000円で頭打ちです。
ケースCは新旧が混ざります。旧制度の一般8万円は、所得税が8万円×1/4+2万5,000円=4万5,000円、住民税が3万5,000円。新制度の一般4万円を足すと上限(所得税4万円、住民税2万8,000円)を超えるため、一般は旧契約だけの額を採用します。介護医療6万円は所得税3万5,000円、住民税2万8,000円。個人年金2万円は所得税2万円、住民税は2万円×1/2+6,000円=1万6,000円。住民税の合計7万9,000円は、上限の7万円になります。
| 項目 | ケースA | ケースB | ケースC |
|---|---|---|---|
| 年間保険料の内訳 | 新・一般9万6,000円、介護医療4万8,000円、個人年金2万4,000円 | 旧・一般12万円 | 旧・一般8万円、新・一般4万円、介護医療6万円、個人年金2万円 |
| 年間保険料の合計 | 16万8,000円 | 12万円 | 20万円 |
| 所得税の控除額 | 9万4,000円 | 5万円 | 10万円 |
| 住民税の控除額 | 7万円 | 3万5,000円 | 7万円 |
軽くなる税金の目安は「所得税の控除額×所得税率×1.021」と「住民税の控除額×10%」を足した金額です。1.021は、令和8年分の復興特別所得税(基準所得税額の2.1%)を含めるためです。国税庁は、令和9年以後は復興特別所得税の税率が下がり、防衛特別所得税が加わる一方、両方を合わせた税率は変わらないとしています。この試算は令和8年分の2.1%で計算しています。
控除の前後で税率の区分が変わらず、課税所得が控除額より大きい場合の目安です。課税所得の1,000円未満切り捨てなどで、実際の差額は数百円動くことがあります。所得税の税率は、課税所得195万円以下が5%、195万円超330万円以下が10%、330万円超695万円以下が20%です。
ケースA(所得税の控除額9万4,000円、住民税の控除額7万円)では、税率10%の所得税が9万4,000円×10%=9,400円、復興特別所得税が9,400円×2.1%=197.4円で、合わせて9,597.4円です。端数処理の前の目安として約9,600円、住民税は7,000円、合計約1万6,600円になります。
| 所得税の税率 | 所得税と復興特別所得税 | 住民税 | 合計の目安 |
|---|---|---|---|
| 5% | 約4,800円 | 7,000円 | 約1万1,800円 |
| 10% | 約9,600円 | 7,000円 | 約1万6,600円 |
| 20% | 約1万9,200円 | 7,000円 | 約2万6,200円 |
税率10%の人で3ケースを並べると、次のとおりです。
| ケース | 所得税と復興特別所得税 | 住民税 | 合計の目安 |
|---|---|---|---|
| A(新制度の3区分) | 約9,600円 | 7,000円 | 約1万6,600円 |
| B(旧制度の一般のみ) | 約5,100円 | 3,500円 | 約8,600円 |
| C(新旧の併用) | 約1万200円 | 7,000円 | 約1万7,200円 |
ケースAは年間16万8,000円の保険料に対し、税率10%でも税金が軽くなるのは約1万6,600円です。節税額は払った保険料より小さく、保険に入るかどうかは必要な保障で判断します。この記事は、特定の保険への加入を勧めるものではありません。保険料そのものの見直しは、固定費の見直し順や自動車保険の見直し順は?自賠責と等級の注意とあわせて考えると整理しやすくなります。
出典:国税庁「No.2260 所得税の税率」、総務省「個人住民税」(2026年10月24日確認)
23歳未満の扶養親族がいる場合の所得税(令和8・9年分)
令和8年分と令和9年分の所得税では、23歳未満の扶養親族がいる人が支払った新生命保険料(新制度の一般生命保険料)の計算式が変わります。介護医療保険料と個人年金保険料の式は、これまでと同じです。
| 年間の新生命保険料 | 控除額 |
|---|---|
| 3万円以下 | 新生命保険料の全額 |
| 3万円超 6万円以下 | 新生命保険料×1/2+1万5,000円 |
| 6万円超 12万円以下 | 新生命保険料×1/4+3万円 |
| 12万円超 | 一律6万円 |
保険料控除申告書では、この特例を使うとき、新契約の控除額と旧契約の控除額を足した額(最高6万円)を一般生命保険料の控除額とします。新生命保険料の金額があることが前提で、旧契約しかない人の上限は5万円のままです。3区分を合計した上限は12万円のままです。
申告書が挙げる対象者は、生計を一にする23歳未満の親族(児童福祉法の里子を含み、配偶者と事業専従者を除く)で、本年の合計所得金額の見積額が62万円以下(給与だけなら収入金額136万円以下)の人です。令和8年分の申告書は、年齢の基準を平成16年1月2日以後生まれと記載しています。共働きで23歳未満の子が1人でも、夫婦の双方がこの特例を使えます。令和8年11月30日以前に年末調整をする場合は、所得の見積額を58万円以下(給与だけなら収入金額123万円以下)と読み替える、と国税庁は案内しています。扶養の所得要件そのものの改正は、年末調整の試算で表にしています。
年間9万円の新生命保険料だけの例です。通常の式では8万円超のため4万円です。特例の式では9万円×1/4+3万円=5万2,500円で、控除額は1万2,500円増えます。所得税率10%なら1万2,500円×10%=1,250円、復興特別所得税2.1%を含めると1,276.25円で、約1,300円です。住民税は、生命保険文化センターの計算表では5万6,000円超が一律2万8,000円のため、この例では差がありません。同センターは6万円への引上げを所得税の時限措置として説明し、生命保険協会の資料でも個人住民税の上限は各区分2万8,000円、合計7万円のままです。
出典:国税庁「No.1140 生命保険料控除」、国税庁「保険と税」、国税庁「令和8年分 給与所得者の保険料控除申告書」(PDF)、国税庁「給与所得者の保険料控除の申告」、生命保険文化センター「税金の負担が軽くなる『生命保険料控除』」、生命保険協会「生命保険料控除に関する税制改正について」(PDF)(2026年10月24日確認)
年末調整の申告と、控除証明書
会社員が生命保険料控除を受ける手続きは、給与所得者の保険料控除申告書に保険料を記入し、保険会社が発行する生命保険料控除証明書(またはQRコード付の証明書等)を付けて、勤務先に出すことです。提出期限は、その年最後に給与の支払いを受ける日の前日までです。旧契約で、剰余金や割戻金を差し引いた残額が1契約9,000円以下のものは、証明書の添付が不要です。
生命保険文化センターは、給与天引きで保険料を払い込んでいる場合は証明書の添付が不要になると説明しています。団体契約の届け方は勤務先の案内に合わせてください。証明書をなくした場合は、契約している保険会社に再発行を依頼できます。
電子データ(XML)で証明書を受け取った人は、勤務先が電子提出に対応していれば、データをそのまま年末調整に使えます。紙が必要な場合は、国税庁の「QRコード付証明書等作成システム」でPDFを作って印刷します。マイナポータル連携で、複数社の証明書をまとめて取得し、申告書に自動入力することもできます。
給与の年間収入が2,000万円を超える人や、年末調整で生命保険料控除を受けなかった人は、確定申告で控除を受けます。確定申告は、原則として翌年2月16日から3月15日までのあいだです。年末調整で控除を受けた分は、確定申告のときに証明書を改めて添付する必要はありません。e-Taxで申告する場合、生命保険文化センターは証明書の添付を省略でき、証明書は5年間保存する、と説明しています。
生命保険料控除と混ざりやすいものが3つあります。
- 地震保険料は地震保険料控除です。同じ保険料控除申告書に記入しますが、計算は別です。詳しくは地震保険の保険料を参照してください。
- iDeCo(個人型確定拠出年金)の掛金は、小規模企業共済等掛金控除です。支払った金額が全額、所得から差し引かれます。上限の見直しはiDeCoの掛金上限で整理しています。
- 国民年金の保険料は社会保険料控除です。前納した場合にどの年の控除になるかは、国民年金の前納で確認できます。
医療費控除は年末調整では受けられません。医療費が多かった年に確定申告をする場合は、医療費控除の比較でどちらを選ぶかを先に計算してください。確定申告をすると、ふるさと納税のワンストップ特例はなかったことになります。寄附がある人はふるさと納税の控除もあわせて確認します。
出典:国税庁「No.1140 生命保険料控除」、国税庁「保険と税」、国税庁「給与所得者の保険料控除の申告」、国税庁「No.1135 小規模企業共済等掛金控除」、生命保険文化センター「税金の負担が軽くなる『生命保険料控除』」(2026年10月24日確認)
申告前のチェックリスト
- 各契約の証明書で、一般・介護医療・個人年金のどれか、新制度か旧制度かを確認したか
- その年に受け取った剰余金や割戻金を、支払保険料から差し引いた額で計算しているか
- 複数の契約を、区分ごとに合計してから計算式へ入れているか
- 個人年金に税制適格特約があるか(ない場合は一般の欄に入ることがある)
- 旧契約の医療保険を、介護医療ではなく一般に入れているか
- 23歳未満の扶養親族がいて、新生命保険料があるか(令和8・9年分の所得税の特例)
- 新旧の両方がある区分は、旧契約だけと、合計して上限を当てた額の、大きい方を使っているか
- 住民税は所得税と同じ金額にならず、3区分の合計が7万円で頭打ちになることを確認したか
- 証明書を、勤務先が指定する期限までに保険料控除申告書へ添付したか(電子提出ならデータの提出先を確認したか)
- 年末調整に間に合わない場合は、確定申告で控除できることを予定に入れたか
まとめ
生命保険料控除は、一般・介護医療・個人年金の3区分で、新制度と旧制度の式を別々に使い、所得税は合計12万円、住民税は合計7万円が上限です。払った保険料の全額が税金から引かれるのではなく、試算では年間十数万円の保険料に対し、所得税率10%の人でおおむね1万円台の軽減にとどまりました。
証明書の区分を申告書の欄に合わせること、新旧が混ざる区分は大きい方の計算結果を使うこと、出し忘れたら確定申告で受けられること。この3点を押さえると、受けられる控除を計算違いで落とさずに済みます。控除額は、保障をいくらにするかの計算ではありません。医療保険の日額とがん保険の一時金を、高額療養費の上限の外の費用から置く手順は医療保険の日額です。個別の契約がどの区分になるかは、保険会社の証明書と、不明な点は税務署で確認できます。
よくある質問
生命保険料控除は払った保険料がそのまま戻りますか
戻りません。一般、介護医療、個人年金の式で控除額を出します。所得税は合計12万円、住民税は合計7万円が上限です。
新旧の契約が混ざるときはどう計算しますか
旧契約だけで計算した額と、新旧を足した額の大きい方を、その区分の控除額にします。自分でどちらか一方だけを届け出る手続きではありません。
年末調整で出し忘れたらどうなりますか
確定申告で受けられます。医療費控除は年末調整では受けられません。