ふるさと納税はどちらが得?ワンストップと確定申告
ふるさと納税でどちらが得かは、ワンストップ特例と確定申告のどちらで控除を受けるか、そして確定申告をする年に特例が消えるかで決まります。申請書の記入手順は、てつづきナビのワンストップ特例に任せ、この記事では控除の受け取り方と、同じ年に確定申告が必要になるときの注意を扱います。寄附しただけでは控除は受けられません。
特に注意したいのが、医療費控除などで確定申告をする年です。ワンストップ特例の申請を済ませていても、確定申告をするとその申請はすべて無かったものとして扱われます。この記事では、2つの方法の違いと、損をしないための確認ポイントを順に整理します。
ふるさと納税の控除のしくみをおさらい
総務省によると、ふるさと納税は、自分で選んだ自治体に寄附をした場合に、寄附額のうち2,000円を超える部分が、所得税と住民税から原則として全額控除される制度です。ただし、控除される額には一定の上限があります。
上限額は、寄附をする人の収入や、ほかにどんな控除を受けているかによって変わります。総務省のよくある質問では、具体的な上限額の計算はお住まいの市区町村の住民税担当部署に問い合わせるよう案内されています。また、自己負担の2,000円は寄附1回ごとではなく、1月〜12月の1年間の寄附総額に対してかかるものとされています。
控除を受ける方法は2つ
控除を受けるには、原則として寄附をした翌年に確定申告をします。そのうえで、一定の条件を満たす人だけが使える簡易な方法として「ふるさと納税ワンストップ特例制度」があります。2つの違いをまとめると次のとおりです。
| 項目 | ワンストップ特例 | 確定申告 |
|---|---|---|
| 使える人 | 確定申告の不要な給与所得者等で、寄附先が5団体以内の人 | 確定申告をする人(寄附先の数に上限はない) |
| 手続き先 | 寄附した各自治体に申請書を提出 | 住所地の所轄税務署 |
| 控除のされ方 | 所得税からの控除はなく、全額が翌年度の住民税から減額 | その年の所得税から控除(還付)+翌年度の住民税から減額 |
| 必要なもの | 自治体指定の申請書と本人確認書類など | 寄附先から届く受領証明書など |
ワンストップ特例を使っても、控除の合計額の考え方は変わりません。違うのは「所得税の還付として戻るか、住民税の減額にまとめられるか」という受け取り方です。
出典:総務省「ふるさと納税の流れ」、総務省「税金の控除について」
ワンストップ特例の「5団体」と「期限」
ワンストップ特例の条件である「5団体以内」は、寄附の回数ではなく寄附先の自治体の数で数えます。同じ自治体に同じ年に複数回寄附した場合は、1団体として数えられます。ただし、申請書は寄附をするたびに提出する必要がある点に注意しましょう。
また、寄附の申込フォームで「申請書の送付を希望する」にチェックを入れただけでは、申請は完了しません。自治体から届く申請書に記入して提出して、はじめて手続きが終わります。一部の自治体では、マイナンバーカードを使ったオンライン申請にも対応しています。
申請書の提出期限は、寄附先の自治体が「寄附した翌年の1月10日必着」と案内している例が多く見られます(例:宮崎県)。年末ぎりぎりに寄附する場合は、郵送にかかる日数も考えて早めに準備しておくと安心です。申請後に引っ越しなどで住所や氏名が変わった場合も、翌年1月10日までに変更届出書を出す必要があります。
出典:総務省「制度改正について(2015年4月1日)」、総務省「ふるさと納税ワンストップ特例の取扱いについて」(PDF)、宮崎県「ワンストップ特例申請について」
確定申告をすると、ワンストップ特例は使えなくなる
ここが一番見落としやすいポイントです。総務省の通知では、ワンストップ特例を申請した人が確定申告書(または住民税の申告書)を提出した場合、その年に申請したワンストップ特例はすべて無かったものとみなされるとされています。申告書の内容や提出時期は問いません。
つまり、確定申告をする年は、ワンストップ特例を申請済みの寄附も含めて、その年のふるさと納税をすべて確定申告書に記入する必要があります。記入し忘れると、その分の控除が受けられなくなります。控除額を比べる計算は医療費控除の比較です。
会社員でも、次のようなケースでは確定申告が必要になります。
- 医療費控除を受けるとき:国税庁によると、医療費控除は確定申告書を提出して受ける控除です。対象となるのは、1年間に支払った医療費から保険金などで補てんされる金額を差し引き、さらに10万円(総所得金額等が200万円未満の人はその5%)を差し引いた金額で、上限は200万円です
- 住宅ローン控除を初めて受ける年:給与所得者でも、控除を受ける最初の年分は確定申告が必要です。2年目以降は年末調整で受けられます
- 寄附先が6団体以上になったとき、申請書の提出が期限に間に合わなかったとき
寄附の時点では申告の予定がなくても、年が明けてから「医療費が思ったより多かった」と気づくこともあります。その場合も、ふるさと納税の分を忘れずに確定申告に含めましょう。
出典:総務省「ふるさと納税ワンストップ特例の取扱いについて」(PDF)、国税庁「No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)」、国税庁「No.1211-1 住宅の新築等をし、令和4年以降に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除)」
確定申告をする場合の準備
ふるさと納税を確定申告する場合は、寄附先の自治体から届く寄附金受領証明書が必要です。届いたらまとめて保管しておきましょう。総務省は、申告書の作成には国税庁の「確定申告書等作成コーナー」が便利だと案内しています。また国税庁によると、マイナポータル連携を使えば、寄附金受領証明書などのデータを取得して申告書に自動入力することもできます。
寄附する前のチェックリスト
- 今年、医療費控除や住宅ローン控除(初年度)などで確定申告をする予定はあるか
- 寄附先の自治体数は5団体以内に収まりそうか
- 自分の控除上限額の目安を、収入や他の控除をふまえて確認したか
- ワンストップ特例を使うなら、申請書を寄附ごとに提出できているか
- 寄附金受領証明書を保管しているか
まとめ
ふるさと納税の控除は、ワンストップ特例か確定申告のどちらかの手続きをして、はじめて受けられます。ワンストップ特例は手軽ですが、寄附先が5団体以内であることなどの条件があり、確定申告をする年は申請がすべて無効になります。医療費控除などで申告する年は、ワンストップ特例を申請した分も含めて、すべての寄附を申告書に記入しましょう。
制度の詳細や控除上限額は、人によって異なります。迷ったときは、総務省や国税庁の公式情報を確認し、お住まいの市区町村や税務署に相談してください。家計全体の見直しとあわせて考えるなら、固定費の見直し順は?年額が大きい契約からや、税制上の優遇がある新NISAはいくらから始める?生活防衛資金のあとも参考にしてみてください。
よくある質問
ワンストップ特例と確定申告で控除額は変わりますか
控除の合計額の考え方は変わりません。違うのは、所得税の還付として戻るか、住民税の減額にまとめられるかです。
確定申告をするとワンストップ特例はどうなりますか
その年に申請したワンストップ特例は、すべて無かったものとみなされます。寄附を申告書に記入しないと、その分の控除は受けられません。
5団体以内はどう数えますか
寄附の回数ではなく、寄附先の自治体の数です。同じ自治体へ複数回寄附した場合は1団体で、申請書は寄附のたびに出します。