国民年金の前納はいくら得?2年前納と早割の差
会社を辞めて自営業やフリーランスになった人、学生、60歳までの無職の人などは、国民年金の「第1号被保険者」として自分で保険料を納めます。令和8年度の保険料は月17,920円で、1年間では215,040円になります。
この保険料は、決められた期間の分をまとめて前払いする「前納」を使うと割引されます。この記事では、前納の種類ごとの割引額を比べ、いつ・どう申し込めばよいか、税金の控除はどうなるかを整理します。
出典:日本年金機構「国民年金保険料の前納」(2026年10月確認)
前納の種類と割引額(比較表)
前納には、2年前納・1年前納・6カ月前納の3種類があります。口座振替では、毎月の保険料を1か月早く引き落とす「早割」も選べます。割引額は支払方法によって違い、口座振替がもっとも大きくなります。
| 納付方法 | 口座振替の納付額 | 口座振替の割引額 | 納付書・クレジットカードの納付額 | 納付書・クレジットカードの割引額 |
|---|---|---|---|---|
| 2年前納 | 417,150円 | 17,370円 | 418,510円 | 16,010円 |
| 1年前納 | 210,530円 | 4,510円 | 211,220円 | 3,820円 |
| 6カ月前納 | 106,300円 | 1,220円 | 106,650円 | 870円 |
| 早割(当月末振替) | 17,860円/月 | 60円/月 | なし | なし |
| 毎月納付 | 17,920円/月 | 割引なし | 17,920円/月 | 割引なし |
金額は令和8年度のもので、割引額は毎月納付した場合との比較です。2年前納は、令和8年度の保険料(月17,920円)と令和9年度の保険料(月18,290円)を12か月ずつ毎月納めた合計434,520円と比べています。
出典:日本年金機構「国民年金保険料の「2年前納」制度」、厚生労働省「令和8年度における国民年金保険料の前納額について」(2026年10月確認)
試算例:1年あたりにすると、どれくらい違う?
上の表の金額を、1年あたりの割引額に直して比べてみます(口座振替の場合)。
- 早割:60円 × 12か月 = 720円
- 6カ月前納:1,220円 × 2回 = 2,440円
- 1年前納:4,510円
- 2年前納:17,370円 ÷ 2年 = 約8,685円
毎月納付のまま2年間払うと434,520円ですが、口座振替の2年前納なら417,150円です。2年間で17,370円、割合にすると約4.0%の差になります。一方、同じ2年前納でも納付書やクレジットカードで払うと割引額は16,010円で、口座振替より1,360円少なくなります。
なお、クレジットカードで払う場合は、カード会社のポイントが付くことがあります。ポイントの付き方はカード会社ごとに違うため、割引額の差と合わせて自分のカードの条件を確かめてください。キャッシュレス決済の考え方はポイ活の還元額でもまとめています。
いつ申し込めばいい?(2026年10月時点)
口座振替やクレジットカードでの前納は、いつでも申し込めます。ただし、申し込んだ時期によって最初の引き落としの対象期間が変わります。
- 2年前納(4月開始):直近の4月から2年分をまとめて払いたい場合の方法です。2月末(必着)までに申出書を提出します。来年(2027年)4月から始めたい場合は、2027年2月末が目安です
- 2年前納:申込み後の最初の引き落としで、その月の分から翌年度3月分までをまとめて払います(13〜24か月分)
- 1年前納・6カ月前納:年度の途中から始めると、最初はその月から3月分までの前納になります
- 納付書:任意の月の分から、年度末または翌年度末までをまとめて前納することもできます。専用の納付書が必要なので、年金事務所に問い合わせます
口座振替は、マイナポータルを経由して「ねんきんネット」からオンラインで申し込めます。日本年金機構は、オンラインで申し込むと口座の確認に時間がかからず、早く前納を始められると案内しています。保険料の一部免除を受けている人は、口座振替では翌月末振替(割引なし)のみになります。
出典:日本年金機構「口座振替でのお支払い」、日本年金機構「クレジットカードでのお支払い」(2026年10月確認)
社会保険料控除は「一括」か「分割」を選べる
国民年金保険料は、全額が社会保険料控除の対象です。2年前納した場合は、納めた年に全額を控除する方法(一括控除)と、各年分に相当する金額をそれぞれの年に控除する方法(分割控除)のどちらかを選べます。一括控除を選ぶと、翌年以降にその分を控除することはできません。
会社員の家族が、生計を一にする配偶者や子の国民年金保険料を払った場合も、払った人の社会保険料控除の対象になります。年末調整では、日本年金機構から届く控除証明書を保険料控除申告書に添付します。年末調整の全体像は年末調整の試算で整理しています。
出典:国税庁「No.1130 社会保険料控除」、国税庁「2年前納された国民年金保険料の社会保険料控除について」(2026年10月確認)
前納の途中で就職したら?
前納した期間の途中で会社に就職して厚生年金に加入した場合など、保険料を重複して納めたことになった分は還付されます。日本年金機構から「国民年金保険料還付請求書」が送られてくるので、記入して提出します。
出典:日本年金機構「重複して納めた国民年金保険料を返してもらうにはどうしたらいいですか。」(2026年10月確認)
あわせて知っておきたい付加保険料
第1号被保険者は、月400円の付加保険料を上乗せして納めると、将来の老齢基礎年金に「200円 × 付加保険料を納めた月数」(年額)が加わります。たとえば12か月納めると、年金額が年2,400円増える計算です。付加保険料も前納でき、口座振替の1年前納なら4,700円(割引100円)です。国民年金基金に加入している人や、保険料の免除・納付猶予を受けている人は納められません。受け取る年齢をずらしたときの月額は年金の繰下げ・繰上げで計算しています。
出典:日本年金機構「付加保険料の納付」(2026年10月確認)
前納する前のチェックリスト
- 自分が第1号被保険者(または任意加入被保険者)かを確認したか
- 近いうちに就職・扶養に入るなど、加入する制度が変わる予定はないか
- まとめて払っても、生活防衛資金が足りなくならないか
- 引き落とし口座が、口座振替に対応している金融機関か(一部のネット銀行は対象外)
- 引き落とし日(原則4月末日・10月末日)に残高が足りるか
- 社会保険料控除を一括にするか分割にするか決めたか
- 届いた控除証明書を、翌年以降の分も含めて保管しているか
2年前納は、口座振替なら1回で40万円を超える支払いになります。残高不足で引き落としができないと、その回の前納は行われず、割引のない毎月の引き落としになります。手元のお金の目安は生活防衛資金の試算を参考にしてください。
まとめ
- 令和8年度の国民年金保険料は月17,920円。前納すると割引がある
- 割引額は2年前納がもっとも大きく、支払方法は口座振替が有利
- 来年4月から2年前納を始めるなら、2月末(必着)までに申し込む
- 2年前納の社会保険料控除は、一括と分割を選べる
- まとめて払う前に、手元資金と今後の働き方の予定を確認しておく
よくある質問
前納で割引が大きいのはどれですか
記事では、割引額は2年前納がもっとも大きく、支払方法は口座振替が有利、としています。早割、6カ月前納、1年前納も比べています。
2年前納の社会保険料控除はどうなりますか
納めた年に全額を控除する一括と、各年分をそれぞれの年に控除する分割を選べます。一括を選ぶと、翌年以降にその分は控除できません。
前納の途中で就職したらどうなりますか
重複して納めた分は還付されます。日本年金機構から還付請求書が送られてきます。